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2006年12月 8日 (金)

terracotta テラコッタ

380

季節が巡り 時が過ぎ
今年最後の月が来た
街はいつも季節を先取りして さまざまなオブジェを飾り立てる

何の予定もないそのイベントに
ココロが踊るはずもなく
わたしはただぼんやりと イルミネーションの点滅を見つめる

街中の華やかさを無意識に避けて
ふと入り込んだ裏路地に
ほのかな明かりを オレンジに透かした
素焼きのツリーが 目に留まる

土で焼かれた ツリーには
星の形の 窓が開き
そこから透ける アカリは 柔らかく あたたかい
そのアカリに誘われて わたしはそっとツリーに触れる

その土の感触が わたしの記憶を夏へと遡らせる
terracotta そのコトバが呪文のように
わたしのココロに蘇る

あの夏の日
貴方が身に着けていた不思議なペンダント
どこかで見たはずのその質感を
記憶の中から探っていると
わたしの視線を察した貴方が教えてくれた
これはterracottaのペンダントだと

それは植木鉢と同じ?
つい 思ったままを口にしたわたしに
あなたは笑って答えてくれた

そう 同じだと

貴方が笑ったそのときに 香りが一緒にわたしに届く
貴方はいたずらを見つかったように
今度はそっと
秘密をわたしに教えてくれた

これはterracottaで出来ているから
香水を少し 滲みこませてみたと
その香水の名前も terracottaだと
日に焼けた 今のわたしもterracottaなのと

そっと教えてくれた貴方の距離が 近すぎて
わたしは貴方の香りに 包まれてしまう

植木鉢の香りの香水なの?
その誘惑を振り払うように軽口を聞いたわたしを
貴方は わらって 咎めなかった

その日から
Terracottaはわたしの中では植木鉢から
貴方の香りに 
貴方の日に焼けた 肌の色へと昇格した

夏が過ぎ
貴方への想いと一緒に 封印したはずの思い出が
こんなところで 解かれてしまった
思いがけなく よみがえる
貴方の笑顔と 貴方の香り

次の夏は 貴方と共にはありえないことは知っている
この冬さえ 貴方に近くにいることだけが
わたしの支えとなっているのに

それでも次の夏にも思い出すだろう
日に焼けた 肌とすれ違うたびに
貴方の香りと ペンダント

貴方が教えてくれた terracotta

植木鉢ではない

貴方の香り
貴方の焼けた 肌のイロ

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